従業員エンゲージメントを高める鍵

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ビジネスの場で「従業員エンゲージメント(以下、エンゲージメント)」という言葉を耳にしたことがあるでしょうか。エンゲージメントの高さが労働生産性と関連しているという研究結果が報告されており、企業にとってエンゲージメントを向上させることが非常に重要であることがわかります。このコラムでは、エンゲージメントの重要性と、エンゲージメントを高めるために人事部門が実施すべき具体的なアクションプランについてご紹介します。

エンゲージメントの重要性

エンゲージメントとは?

エンゲージメントとは、従業員が企業や組織に対して抱く帰属意識や業務への意欲を指します。「エンゲージメントが高い」とは、従業員が企業の価値観に深く共感し、強いモチベーションを持って日々の業務に取り組む状態を意味します。

エンゲージメント向上の利点と低下による悪影響

エンゲージメントの高さは、従業員の帰属意識の強さから生まれる貢献意識に起因し、その結果として生産性の向上に繋がります。エンゲージメントが高い従業員は、業務に対して積極的に取り組み、企業全体の成功に貢献しようとするため、企業の成長を促進します。

逆に、エンゲージメントが低い場合には、仕事へのやりがいや満足感が欠如し、従業員の離職率が増加するリスクが生じます。また、業務に対するモチベーションが低下することで、業績が悪化する可能性もあります。エンゲージメントが低い従業員は、業務に対する興味や責任感が薄れ、結果として企業全体のパフォーマンスに悪影響を及ぼします。

企業経営においては「ヒト・モノ・カネ・情報」が重要な経営資源とされていますが、エンゲージメントはその中でも特に「ヒト」に密接に関係しており、企業経営における重要な課題となっています。高いエンゲージメントを維持することで、企業は従業員のパフォーマンスを最大化し、持続的な成長を実現することができるのです。

エンゲージメント改善に取り組んだ企業の事例

サイボウズ株式会社では、一人ひとりが自分に合った働き方を選べる「新・働き方宣言制度」を採用しました。この制度は、人事が個々のニーズに応じた働き方を支援することから生まれたもので、自分らしく働ける職場環境を提供し、エンゲージメントを高める結果となりました。その結果、離職率は28%から3%〜5%に削減されました。
(引用:離職率28%、採用難、売上低迷。ボロボロから挑んだサイボウズのハイブリッドワーク10年史 https://hybridwork.cybozu.co.jp/story/cybozu-10years/)

エンゲージメントを高める要素

エンゲージメントを高める要素をご紹介します。

信頼関係の構築

エンゲージメントとは従業員と上司または同僚や企業の間で構築される信頼関係です。従業員と上司または同僚間の信頼関係なしでは、従業員と企業間の信頼関係は醸成されないでしょう。上司や同僚が公正にお互いを評価し、お互いの意見に平等に向き合うことで信頼関係を深めることが重要です。

成長機会とキャリアパスの提供

従業員がそれぞれのキャリアパスを考え、成長を実感しながら業務を遂行できる環境であることは、エンゲージメント向上のために重要です。キャリアアップの機会が十分であり、挑戦できる環境であることは、従業員のモチベーション向上につながります。

心理的安全性の確保

心理的安全性が確保され、従業員それぞれが自分らしく働ける職場環境であることは、エンゲージメント向上につながります。例えば業務での失敗といったリスクを受容できるようなポジティブな文化や、自由なコミュニケーションが行える環境は、従業員の業務に対する意欲を高めることができます。

エンゲージメントが低い場合の影響

エンゲージメントが低い場合、企業にはさまざまな悪影響が及ぶ可能性があります。

離職率の増加

エンゲージメントが低い従業員は、会社への帰属意識や貢献意識が薄れ、仕事に対する満足度も低くなるため、転職を考える可能性が高くなります。これにより、離職率が上昇し、現場従業員の士気が低下するほか、優秀な人材の流出が生じます。さらに、高い離職率は採用や教育にかかるコストの増加を招きます。また、離職率の高さは求職者に「ブラック企業」と認識されやすく、採用活動にも悪影響を及ぼす可能性があります。

生産性の低下

エンゲージメントが低い従業員は業務に対するモチベーションが欠如しているため、生産性が低下します。また、仕事に対する責任感や関心が薄れるため、ミスの増加や納期の遅れが発生する傾向があります。その結果、チーム全体のパフォーマンスが低下し、ビジネス目標の達成が困難になることもあります。

企業文化の悪化

エンゲージメントが低い従業員が増えると、企業文化がネガティブな方向に傾く可能性があります。企業文化の醸成活動に対する参加が減少し、協力的でない職場環境やコミュニケーション不足が生じます。これにより、組織全体への不信感が高まり、社内の風通しが悪くなることで、イノベーションが停滞し、新しいアイデアが生まれにくくなる恐れがあります。

エンゲージメント向上に向けたアクションプラン

先の章でご紹介したエンゲージメントを高める要素を踏まえ、エンゲージメント向上のために実践できる具体的な施策をご紹介いたします。

エンゲージメント調査と分析

従業員のエンゲージメントを定期的に測定するアンケートを実施します。質問項目には職場環境、上司との関係、同僚との関係、成長機会、仕事の満足度を含めます。調査結果をもとに改善すべき領域を特定し、対策を従業員に共有し実行します。このプロセスを通じてPDCAサイクルを確立していきます。

従業員のキャリア開発支援

一対一でキャリアプランを話し合い、個々のキャリア目標を理解して支援します。従業員が目標に向かって成長している実感を得ることで、モチベーションが向上します。また、専門スキルやリーダーシップを高めるための研修やワークショップを定期的に開催し、成長の機会を提供し続けます。
また、それらの活動を円滑に推進するため、研修管理だけでなく社内SNSなどキャリア開発を支援する機能が豊富なLMSの導入も効果的です。(統合型LMS「CAREERSHIP」)

ワークライフバランスの向上

テレワークやフレックスタイム制を導入し、従業員のライフスタイルに合わせた柔軟な勤務体系を整えます。働きやすい環境を提供することで、従業員が自分らしく働けるようになり、エンゲージメントが高まります。さらに、メンタルヘルスサポートや育児支援など、福利厚生の充実も重要です。

社内コミュニティと文化の醸成

従業員主導のプロジェクトやイベントを企画・実行することを奨励し、組織全体の一体感を育みます。また、多様性を推進することで、様々なバックグラウンドを持つ従業員が活躍できる文化を醸成します。多様な視点が尊重されることで、従業員の満足度とエンゲージメントが向上します。
電通総研のHCM事業部でも、実際に、「Work Style Transformation」(WST)と題した部署横断組織を設立しています。「WST」の活動では、先に挙げたエンゲージメント調査のほか、組織のコミュニケーションを活発化させるための様々な取り組みを行っています。
WST」の詳細はこちらのコラムで紹介しております。事例から学ぶ「風通しのいい職場」の条件と心理的安全性

まとめ

さてここまで、「従業員エンゲージメントを高める鍵」と題して、エンゲージメントの重要性やその向上が企業に与える影響、具体的な施策について解説してきました。
エンゲージメントは企業の成功に不可欠な要素で、従業員の帰属意識や業務への意欲を高めることで、生産性や業績向上に寄与します。信頼関係の構築、成長機会の提供、心理的安全性の確保といった具体的な施策を実施することで、従業員のモチベーションを高め、持続的な成長を実現します。結果として、企業全体のパフォーマンスが最大化されるのです。