“全体最適”で効率化と人材活用を加速する 注目の記事 公開日:2024年11月13日(水) 最終更新日:2024年12月09日(月) ※「ITmediaビジネスオンライン」記事より転載 コロナ禍で変化を見せる「人事」の業務。課題が山積する中で、どのように業務を効率化し、組織課題や経営課題に深く関与する「戦略人事」を構築していけばよいのだろうか。これからの人事に必須ともいえる2つの機能追加を2020年8月に発表した大手企業向け統合人事ソリューション「POSITIVE」を提供する電通国際情報サービスに話を聞いた。 「新型コロナウイルス感染拡大の影響によって、人事担当者が忙しくなった」「リモート環境の整備に始まり、労働時間の管理や社員のメンタルケアなど課題が山積している」——人事部門の仕事を巡ってこうした論調をよく聞くようになった。一方、人事部門の最前線では、実は少しばかり、その受け止め方に温度差があるようだ。業務が増えたと言うよりも、正しくは「優先度が変わった」という印象が強いという。すなわち、これらの課題は以前から存在していたが、急激なリモートワーク需要によって、最優先事項へと順位が変わったのだと指摘する声が多く上がっているのだという。 「例えば、最近話題の社員のメンタルヘルスというのは以前から人事のテーマとして存在していました。コロナ禍によりリモートワークになったことで、こうしたトピックの優先度がより上がり、仕事が増えたかのように見えているのです」。このように指摘するのは、人事領域に関するソリューションを提供している、電通国際情報サービスのHCM事業部製品企画開発部長の照下貴生氏だ。 考えてみれば、こうした課題を解決するための切り札として数年前に「HRテック」が登場。これまでアナログな業務が多かった人事業務の現場を大きく効率化することを期待され、実際に多くの企業で導入が進んだ一方で、完全に使いこなせているケースはなかなか少ないというのが現状だ。HRテックによる「個別最適化」が進みすぎたことが原因だと照下氏は指摘する。 目次大企業ほど顕著な、知られざるHRテックの課題「タレントマネジメント」のためにも、全体最適のシステムを新たに追加する2つの機能とは?変化に対応し、戦略人事をサポートしていく 大企業ほど顕著な、知られざるHRテックの課題 「人事とITを巡っては、全体最適の視点がなく、個別最適のみで効率化を目指しているところに根本の問題があります。例えば、採用管理に特化したものや評価に特化したサービスなど、個別の課題に対する最適解を提供するソリューションの選択肢は増えています。ところが、採用に始まり、新人教育や配属、育成など、退職するに至るまでの人事が扱う従業員のサイクルの中、多岐にわたる各業務に最適なソリューションを個別に入れたことによって、かえって全体的な運用の負荷が上がってしまっている企業も多いのではないでしょうか」(照下氏) しかも、この現象は、企業の組織が大きければ大きいほど顕著に表れるという。 「特に大手企業においては、給与計算をしているのは労務部門、人事の管理をしているのは人事部門——といったように、大ざっぱに『人事』の役割とされるものの中でも細かく担当セクションが分かれています。ですから、部門ごとに予算を組んで最適なソリューションを導入するということが往々にして起こるわけです。 本来であれば、人事システムと労務システム、就業システムは密接に絡み合っているので、一括構築する方が効率良く運用できるということは分かっているものの、このような縦割りの状況に多くの企業では陥らざるを得ない状況になっています」(照下氏) この個別最適化の問題は案外根深く、企業の将来を揺るがす問題へとつながりかねない。一方で、こうした課題に対して、人事システムを情報システム部門が管理して、全体最適を実現できればいいのではないかと思うのだが、人事システムは“聖域”化されてしまっているケースが多いという。人事システムはセキュアな情報管理をしているので、情報システム部門には触られたくないという人事部門もあるのだという。 人事の各担当部門主導でシステムを導入した結果、各セクションでバラバラのものになってしまい、その状況下で、「働き方改革」や「コロナ禍での対応」といった全社が一丸となって取り組まねばならない難題が降りかかれば、さらに複雑な状況になっていくのも当然のことだといえる。 「タレントマネジメント」のためにも、全体最適のシステムを 「少子化傾向にある日本では、既存の社員の能力を生かし、最適なポジションを与えて育成することが重要です。こうした取り組みは『タレントマネジメント』と呼びますが、個別最適のデータベースではなく、就業情報や給与情報などのさまざまな情報が統合的に管理されていなければ、各社員の特性が見えてきません」と照下氏は話す。 このタレントマネジメントに関して同社のHCM事業部営業ユニット長の橋本宣英氏は、大手企業、特にグループ企業も合わせて大人数の社員を管理し、かつ異動が頻繁にあるような会社であれば、なおさら深刻化していると指摘する。 「取りあえずタレントマネジメントシステムを導入したけれど、情報が古いまま更新もしていないという企業の話もよく聞きます。大手企業ともなれば、毎月何百・何千人もの単位で異動するというケースもあるでしょう。これほどの人数を、手動で記録して整理するのは現実的ではありません。グループ企業の管理という観点でも、全体最適を見据えた人事システムの重要性は増してきていると考えています」(橋本氏) こうした、大手企業を中心に頭を悩ませている課題を解決する統合HCMソリューションとして注目を集めているのが、同社が提供する「POSITIVE」だ。 大手企業に選ばれる統合人事ソリューション「POSITIVE」 「POSITIVE」は、人事や給与に加えて、就業管理や従業員向けのWebサービスまで統合管理が可能。加えて高機能なタレントマネジメント機能も実装しており、グループ管理に適したIT基盤を有していることから、2002年のリリース以来、あらゆる業種の大手企業を中心に2700社以上への導入実績を誇る。多彩な機能を備えているため、導入とともに社内の業務標準化を狙う企業も多いという。 2020年8月には、ビジネスプロセスオートメーション(=日常的なビジネスタスクの自動化、BPA)機能の追加と、スマートデバイス対応モジュールの拡充を発表した。同社の照下氏は、今回の機能追加の背景についてこのように語る。「コロナ禍だから、ということではなく、それ以前から『生産性向上』というキーワードを意識した機能開発を進めてきました。根底には、日々の業務に忙殺されるのではなく、業務を効率化し、空いた時間・要員で組織課題や経営課題などに深く関わる『戦略人事』を実現したいという考えがあります。POSITIVEでできる、さらなる業務効率化を追求した結果として今回の機能拡張に至りました」 新たに追加する2つの機能とは? では、新たに追加する機能はどういったものなのだろうか。 BPA機能は、給与計算処理など定型業務をターゲットにしており、処理に必要な一連の流れの中から担当者の判断を必要としない作業を自動で実行することで、業務の負荷を下げて生産性を上げることを目指す。ヒューマンエラーや属人化を防ぐことで、人事担当者がこれまで以上に戦略的な業務を行えるようにする。 自動化を通して業務効率の向上と業務プロセスを改善 「当社のソリューションは、グループ管理に強いと自負しております」と橋本氏が胸を張る通り、グループ会社で一括してこの機能を動かすことができるのも特徴の一つだ。企業グループでは、一部の会社が人事業務を一括して行う「シェアードサービス部門」を抱えることも多い。しかし、各社でルールや処理が異なることで、非効率な運用を強いられていることも多いという。POSITIVEの新機能を活用すれば、複数の会社をまたいで自動化・効率化を果たすことができるだろう。 スマートデバイス対応モジュールについては、従来機能を拡張する。「今回の機能強化では、新たに人事諸届の申請や、出退勤の打刻時にGPS機能で位置情報を記録したり、残業申請もスマートフォンなどからできるようにしたりしました。リモート化により大手企業の間で課題になっている長時間労働の抑制にもつながります」と照下氏。 コロナ禍で需要が急激に高まる「リモートワーク」にも対応 変化に対応し、戦略人事をサポートしていく 照下氏が話す通り、今回の機能拡大は単純にコロナ禍をターゲットにしたわけでなく、さらにこの先も続いていくであろうPOSITIVEの進化の過程にすぎない。POSITIVEが最終的に目指すのは、自社の社員が持つ能力を最大限に生かせる世界観の実現であり、人事部門が事業部門とともに経営戦略を実践するためのビジネスパートナーになることだ。照下氏に、今後の展望について聞くと、次のように答えてくれた。 「経営の戦略パートナーである人事部門のあらゆるニーズに応えられるようにしたいと考えています。業務の効率化について、さらに追求を続けていくのはもちろん、企業グループ全体の人財情報を見える化し、人財の有効活用や効果的な人財育成、パフォーマンスを向上させる組織開発へと発展させ、企業の業績を最大化する戦略的人財マネジメントの実践を支援していきます」 統合HCMソリューション「POSITIVE」の詳細はこちら