【最新版】雇用保険とは?意外と知らない制度・活用方法を分かりやすく解説

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「雇用保険」と聞くと、失業した際に受け取る手当を思い浮かべる方が多いのではないでしょうか。しかし、実際には、雇用保険は失業時だけでなく、育児や介護、スキルアップなど、さまざまな場面で私たちの生活を支えてくれる重要な制度です。 

 本コラムでは、意外と知られていない雇用保険の制度や給付の種類、在職中にも受け取れる給付金、失業手当の受給条件や金額の計算方法、そして2028年からの制度変更まで、最新情報を分かりやすく解説します。 

雇用保険とは 

雇用保険は、働く人々が失業や休業など予期せぬ事態に直面した際、生活の安定や再就職の支援を目的として設けられた公的な保険制度です。以下に雇用保険の給付の種類や加入するメリットを紹介します。

雇用保険の給付の種類 

雇用保険は、状況や目的に応じて主に4種類の給付があります。

求職者給付

失業した人が生活を安定させつつ、再就職を支援する給付です。代表的な給付に「基本手当(いわゆる失業手当)」があり、仕事を探している間の生活費を支援します。

就職促進給付

失業中の人が早く新しい仕事に就けるよう支援する給付です。再就職が成功した場合に「再就職手当」や「就業促進定着手当」などが支給されます。

教育訓練給付

働く人がスキルアップや資格取得を目指す際に利用可能な給付です。「教育訓練給付金」などがあり、講座や研修の費用の一部が支給されます。

雇用継続給付

働いている方の雇用継続のための給付です。定年後も働く人向けの「高年齢雇用継続給付」や、介護のために休業する人向けの「介護休業給付」があります。

在職時でも受け取れる雇用保険給付

雇用保険には、働きながらでも利用できる給付金が用意されています。

育児休業給付金

育児のために仕事を休む場合、休業前の賃金の67%(180日目以降は50%)が最長2歳まで支給されるので、子育ての助けになります。

介護休業給付金

家族の介護が必要になったときは、休業前賃金の67%が最大93日間支給されるため、仕事と介護の両立をサポートしてくれます。

高年齢雇用継続給付

60歳を過ぎても働き続ける場合、賃金が下がったときにはその差額の一部※が支給されるので、定年後も安心して働き続けることができます。

※支給額
2025年3月31日以前に60歳に達した方:賃金の最大15%
2025年4月1日以降に60歳に達した方:賃金の最大10%

雇用保険に加入するメリット 

雇用保険に加入していると、失業時に「失業手当」が受け取れるため、生活の安定が図れます。育児や介護で休業する場合も「育児休業給付」や「介護休業給付」が支給され、家庭の事情に対応しやすくなります。さらに、「教育訓練給付」を利用すれば、資格取得やスキルアップの費用負担が軽減され、キャリア形成にも役立ちます。雇用保険は、生活保障とキャリア支援の両面で働く人をサポートする制度です。

失業手当はいつ・どれくらい受け取れるのか 

ここからは、雇用保険の中でも「失業手当」と呼ばれる、退職後に受け取れる給付について受給条件や支給時期、金額の計算方法など、知っておきたいポイントを解説します。 

失業手当を受け取る条件

失業手当を受け取るためには、主に次の2つの条件を満たす必要があります。

①再就職する意思と能力があり、実際に求職活動をしていること

求職申込みを行い、離職票を提出したのち受給者説明会に参加します。その後、必要な回数の求職活動をしながら、4週間ごとにハローワークで失業認定を受ける必要があります。

②一定期間以上、雇用保険に加入していたこと

自己都合退職の場合は、過去2年間に12ヵ月以上、雇用保険に加入している必要があります。会社都合の場合は、過去1年間に6ヵ月以上、雇用保険に加入していれば受給できます。

失業手当を受け取るタイミング

失業手当を受給できる時期は、離職理由によって異なります。

会社都合の場合(解雇や定年、契約満了など)

離職票を提出し求職申込みをしてから7日間の待機期間後、受給が始まります。

自己都合や懲戒解雇の場合

待機期間後に1ヵ月の給付制限期間があり、その後に受給が始まります。なお、自己都合退職でも教育訓練を受ける場合であれば、給付制限なく受給できます。

失業手当受給額

失業手当で受け取れる金額を算出するためには、まず、離職前6か月間の給料の合計を180日で割って、1日あたりの「賃金日額」を出します。そのうえで、賃金日額の50~80%(60~64歳については45~80%)が「基本手当日額」として支給されます。なお、収入が少ない人ほど高い割合が適用されます。

支給上限額

年齢によって「基本手当日額」の上限が決まっており、30歳未満であれば7,255円、30~44歳は8,055円、45~59歳は8,870円、60歳以上は7,623円というように区分されています。

受給期間

失業手当をもらえる期間は、原則90日から最長330日まであり、年齢や雇用保険に入っていた期間によって変わります。

受給額の例

月収30万円の人の場合、賃金日額は約10,000円、基本手当日額はおよそ6,000円となります。この場合、1か月あたり約18万円の給付を受け取ることができます。

項目 内容
計算基準  賃金日額(=離職前6か月の総賃金 ÷ 180日) 
基本手当(日)  賃金日額の50~80%(60~64歳については45~80%) 
手当額の上限 年齢ごとに上限あり 
受給期間  90~330日 

雇用保険はどのような人が対象なのか?

雇用保険の対象となるのは、企業に雇用されて働く人です。雇用保険は働き方や雇用形態に関係なく、一定の条件を満たしていれば幅広い人が対象となります。自分が加入対象かどうか、勤務先や雇用契約の内容を確認することが大切です。

雇用保険に加入できる要件

雇用保険に加入できるのは、次の2つの要件を満たす場合です。

  1. 31日以上の雇用が見込まれる
  2. 1週間の所定労働時間が20時間以上である(2028年の改正内容はこちら)
    所定労働時間とは、就業規則や雇用契約書などで定められた、労働者が働くことを義務付けられた時間をいいます。
    これらの条件を満たしていれば、基本的に正社員だけでなく、パートやアルバイトでも雇用保険に加入が可能です。

雇用保険に加入できない要件

一方で、これらの要件を満たしていても、雇用保険に加入できない場合もあります。

・季節限定の雇用
・高校や大学などに通う学生
・船員や公務員、法人の代表者や取締役など
・他者で雇用保険に加入している場合

上記の要件に該当する方は、雇用保険に加入できないため注意が必要です。

2028年から加入要件が変更

2028年からは、2つ目の要件である所定労働時間の緩和される予定で、週10時間以上の労働があれば対象になります(現在は20時間)。そのため、2028年からは、現在は対象外となっているパートやアルバイトの方も、加入対象になる可能性があります。
詳しくは厚生労働省の最新情報をご確認ください。

雇用保険について人事担当者が押さえるべき4つのポイント

雇用保険は、従業員の生活やキャリアを支える重要な制度であり、企業にもさまざまな義務や役割があります。ここでは、企業の人事担当者が、特に注意すべき実務上のポイントに加えて、業務をサポートする電通総研の「POSITIVE」という人事システムをご説明いたします。

1.企業が負担する雇用保険料

雇用保険料の計算式は「賃金総額 × 雇用保険料率」です。それぞれの項目について説明します。

賃金総支給額の算出

まず、雇用保険料を計算する際に「賃金」として扱われる項目を確認しましょう。
毎月の給与や、業務に関連して継続的に支払われる手当は、「賃金」として計算に含まれます。一方、休業補償や傷病手当、退職金など、特別な事情で一時的に支給されるものは「賃金」には含まれません。

雇用保険料率の確認

企業が負担する雇用保険料率は事業主負担の部分を参照してください。また保険料率は、事業によって異なるので、自社の事業分野を確認しておく必要があります。
2026年4月1日から2027年3月31日までの雇用保険料率は以下の通りです。

 

①労働者負担 

②事業主負担 

①+② 

雇用保険料    

                     

失業等

給付・

育児休業

給付の

保険料率       

雇用保険

二事業の

保険料率

一般の事業 

5/1,000 

8.5/1,000 

5/1,000 

3.5/1,000 

13.5/1,000 

農林水産・清酒製造の事業※ 

6/1,000 

9.5/1,000 

6/1,000 

3.5/1,000 

15.5/1,000 

建設の事業 

6/1,000 

10.5/1,000 

6/1,000 

4,5/1,000 

16.5/1,000 

※園芸サービス、牛馬の育成、酪農、養鶏、養豚、内水面養殖および特定の船員を雇用する事業については一般の事業の率が適用されます。

2.企業の雇用保険の納付方法

雇用保険料は、毎年4月1日から翌年3月31日までの1年間を計算期間とし、企業は6月1日から7月10日の間に申告・納付を行います。まず、前年度の賃金総額をもとに「概算保険料」を納付し、翌年に実際の賃金総額で「確定保険料」を申告します。差額があれば追加納付や還付が行われます。

申告・納付は労働局や労働基準監督署、日本銀行の窓口、または電子申請で手続き可能です。期限を過ぎると追徴金が発生するため、注意が必要です。

3.従業員の入退社の際の企業側の手続き

従業員の入退社の際には、管轄のハローワーク(公共職業安定所)へ必要な届出を行うことが求められます。

従業員が入社する時

従業員が新しく入社した際には、以下の書類を提出することが必要です。
また、これらの書類が正しく受理されたのちに、ハローワークより交付された通知書と証明書は、従業員に必ず渡すようにしてください。

提出書類 提出方法 提出期限
雇用保険被保険者資格取得届 窓口に持参、郵送、電子申請 翌月10日まで

従業員が退社する時

従業員が退職する際には、以下の2つの書類を提出することが必要です。
これらの書類が受理されることで、退職者に「離職票」が発行されます。退職者は「離職票」がないと、失業手当を受けられないため、確実に提出を行うようにしてください。

提出書類 提出方法 提出期限
雇用保険被保険者資格喪失届 窓口に持参、郵送、電子申請 離職翌日10日以内
雇用保険被保険者離職証明書

4.人事業務をサポートするシステム

これらの雇用保険に関する手続きを確実かつ効率的に進めるためには、人事システムの活用が有効です。

電通総研が提供する、大手企業向け統合HCMソリューション「POSITIVE」では、雇用保険の資格取得・喪失手続きや保険料計算、申告・納付業務までを一元管理できます。書類作成や電子申請、提出期限の管理など、実務の負担を軽減する機能が充実しており、雇用保険以外のさまざまな人事業務にも対応しています。
人事業務の正確さと効率化を図るために、こうしたシステムの導入を検討してみてはいかがでしょうか。

まとめ

仕事をしていると、思いがけず職を失うこともあります。そんなとき、雇用保険に入っていれば「とりあえず生活は何とかなる」という安心感があります。そのおかげで、焦らずに自分に適した職場をじっくり探すことができます。

また、子育てや親の介護など、人生の節目で仕事を休まなければいけない時も雇用保険の給付金が支えになってくれます。さらに、「新しい資格を取ってみたい」「スキルアップしたい」と思ったときにも、教育訓練給付を使えば、自己投資のハードルがぐっと下がります。

こうした雇用保険の制度を従業員が安心して活用できるようにするためには、企業側の適切な手続きや保険料の管理が欠かせません。人事担当者は、実務面のポイントをしっかり押さえておくことが重要です。

雇用保険は、働く人のもしもの時や新しいチャレンジを後押ししてくれる、心強い制度です。制度の内容や活用方法を正しく理解し、自分や家族のライフステージに合わせて活用していきましょう。

執筆者略歴

相馬
株式会社電通総研
HCM本部 HCMコンサルティング3部

2025年に新卒入社。大手企業向け統合HCMソリューション「POSITIVE」の導入業務に従事中。システム導入の際に「お客様に寄り添った提案を行いたい」という思いで業務に励んでいる。

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このコラムは執筆者の個人的見解であり、電通総研の公式見解を示すものではありません。