サクセッションプランとは?導入方法と人事ソリューションの活用法 人事キーワード・ノウハウ 公開日:2026年05月21日(木) 企業の持続的成長には、優秀な人材の確保と育成が不可欠です。 特に、経営層や部門責任者などの重要ポストにおいては、突然の退任や異動が組織に大きな影響を与える可能性があります。 こうしたリスクに備え、計画的に重要ポストの後継者を育成・選定する「サクセッションプラン(後継者育成計画)」が注目されています。 本記事では、サクセッションプランの基本的な考え方から導入ステップ、人事ソリューションの活用法までを解説します。 目次サクセッションプラン(後継者育成計画)とは なぜ「サクセッションプラン」が注目されているのか サクセッションプランの目的と企業にもたらす価値 サクセッションプラン導入のための5つのステップ サクセッションプラン導入時に留意すべきポイント 人事ソリューションで実現するサクセッションプラン まとめ サクセッションプラン(後継者育成計画)とは サクセッションプランとは、企業の重要ポストにおける後継者を計画的に選定・育成することを指します。 経営層や部門責任者など、組織の中核を担う人材が退任・異動した際に、業務や戦略の継続性を確保するための人材マネジメント施策として位置づけられています。 一般的な人事異動とは異なり、長期的な視点で候補者の能力開発や適性評価を行う点が特徴です。 なぜ「サクセッションプラン」が注目されているのか 近年、「サクセッションプラン(後継者育成計画)」が企業経営において注目を集めています。 その背景には、コーポレートガバナンスの強化や人的資本経営への関心の高まりがあります。 特に、経営層など重要ポストの突然の退任や異動は、企業価値や事業継続性に大きな影響を及ぼします。 そのため、計画的な後継者育成の重要性が高まっています。 東京証券取引所が定めた「コーポレートガバナンス・コード」では、取締役会がCEOなどの後継者育成計画の策定・運用を明確にし、適切に監督することが原則の一つとして定められています。 また、人的資本の情報開示に関する国際規格である「ISO 30414」においても、サクセッションプランに関する項目が設けられ、後継者育成に関する情報開示が推奨されていることから、企業は安定的な事業継続におけるサクセッションプラン策定の重要性を問われています。 サクセッションプランの目的と企業にもたらす価値 サクセッションプランの主な目的は、後継者を計画的に育成し、企業の持続的な成長を実現することです。 経営層や重要ポストの後継者を事前に選定し、体系的な育成プロセスを構築することで、組織の安定性と将来の成長基盤を強化できます。 企業にもたらす価値として、まず挙げられるのが経営交代に伴うリスクの低減です。予期しない退任や人事異動が発生した場合でも、計画的に育成された後継者がいれば、事業継続性や意思決定の質を維持しやすくなります。 また、経営層の育成計画を社内に示すことは、社員のモチベーションアップにもつながります。明確なキャリアパスや成長機会が提示されることで、社員は自らの将来像を描きやすくなり、組織への定着や能力開発への意欲が高まります。 サクセッションプラン導入のための5つのステップ 実効性のあるサクセッションプランを実現するためには、各プロセスを体系的に進めることが重要です。ここでは、その導入に必要な5つのステップについてご紹介します。 ①経営ビジョン・戦略の明確化 サクセッションプランの導入にあたっては、まず企業の経営ビジョンや中長期的な戦略を明確にすることが重要です。将来の事業展開や組織の方向性を具体化することで、どのポストにどのような人材が必要かを判断しやすくなります。 例えば、グローバル展開を目指す企業では、将来的に海外拠点の経営を担える人材が必要となります。また、イノベーション創出を重視する場合は、新規事業開発やデジタル領域に強いリーダーが求められます。 このように、経営層がビジョンを共有し、組織全体で目指すべき姿、全体構想を明確にすることが、後継者育成の土台となります。 ②重要ポストの特定と人材要件の定義 次に、事業継続や成長を担う重要ポストを特定し、それぞれに求められるスキル・経験・資質など、ポストに求められる要件を定義します。各ポストに対して、必要な専門知識、マネジメント経験といった、具体的な人材要件を定義することで、後継候補者や育成すべき能力が明確になります。客観的な要件設定は、適切な人材選定と育成計画の策定に不可欠です。 ③後継候補者の選出 定義した人材要件に基づき、社内外から後継候補者を選出します。候補者のスキルや実績、リーダーシップなどを多面的に評価し、適性や成長の可能性を見極めることで候補者を選定します。 評価は定量的・定性的な指標を組み合わせて行い、組織の将来を担う人材を客観的に選定することが重要です。 ④育成計画の策定と実行 選出した後継候補者には、まず個々の人材要件や現状のスキルギャップを分析したうえで、育成計画を策定します。 例えば、グローバルな視点を強化したい場合は、海外拠点への短期赴任や、異文化プロジェクトへの参加を通じて、国際的なビジネス感覚を身につける機会を提供します。様々な成長機会を組み合わせることで、複数の成長機会を組み合わせることで、将来の重要ポストを担うために必要な能力を計画的に育成できます。 ⑤定期的なレビューとプランの改善 サクセッションプランは一度策定して終わりではありません。 経営環境や組織状況の変化に応じて、定期的に育成計画や候補者の状況をレビューし、プランを改善することが重要です。 育成計画の進捗を定期的に確認し、必要に応じて内容を見直すことで、候補者の成長を着実に促すことができます。継続的な見直しにより、組織の人材戦略を常に最適な状態に保つことがポイントです。 サクセッションプラン導入時に留意すべきポイント サクセッションプランを導入する際は、後継候補者の選出基準の明確化と、育成計画の実効性確保が重要とされます。 これらが不十分だと、適切な人材配置や能力開発が進まず、事業継続や組織成長にリスクをもたらすことが考えられます。 後継候補者の選出基準が明確であるか 後継候補者の選出基準が曖昧な場合、主観的な評価や推薦に偏り、組織の将来を担う人材が適切に選ばれないリスクがあります。 選定基準は経営戦略や事業目標と連動させ、具体的なスキル・経験・資質を明文化し、客観的な評価指標を用いることが重要です。 育成計画が形骸化していないか 育成計画が定期的に見直されない場合、能力開発が停滞する恐れがあります。 育成計画は、候補者の現状と目標に基づき、実行可能かつ具体的な内容で設計することが重要です。 進捗状況を定期的に確認し、必要に応じて柔軟に修正できる体制を整えることで、計画の実効性が担保されます。 人事ソリューションで実現するサクセッションプラン サクセッションプランの実現には、現状把握から候補者選定、育成計画の策定、進捗管理までを一貫して管理する必要があります。 これらのプロセスを効率的かつ透明性高く運用するためには、システム活用が有効です。 「POSITIVE」は、企業の人材情報を一元管理できる統合型HCM(Human Capital Management)ソリューションです。 人事データの集約・分析、給与・就業管理、タレントマネジメントなど、日々の人事業務を効率化する機能を幅広く備えています。 特に、サクセッションプランの運用においては、タレントマネジメント機能の「ポスト登録」「候補者募集管理」「育成計画管理」など、後継者管理に必要なプロセスを一元的に管理できる点が特徴です。グループ会社間でも共通基盤として活用でき、複数の拠点や関連会社を横断した組織全体での後継者育成を支援します。 「POSITIVE」によるポスト管理 サクセッションプランを策定するうえで、対象となる重要ポストを特定できていても、求められる能力や資質が曖昧であると、後継者育成の方針が定まらず、サクセッションプランの実効性が損なわれる恐れがあります。 「POSITIVE」では、特定のポストに対して役割や就任に必要な人材要件をシステム上で明確に定義することができます。 各ポストの職務内容に加え、求められるスキルや経験、資格などの要件を設定することで、経営戦略や事業計画と連動した人材要件の管理が可能です。 「POSITIVE」による後継候補者の選出 「POSITIVE」では、「複合検索機能」を活用することで、重要ポストに求められるスキル・経験・資格・評価履歴など、複数の条件を組み合わせて後継者候補を効率的に抽出できます。 各候補者が検索条件にどの程度適合しているかを「適合率」として数値化できるため、膨大な人材データの中から客観的かつ的確に適任者を選出することが可能です。 また、抽出した候補者同士をスキルや経験、評価指標ごとに一覧で比較・分析することで、どの候補者がどの要件を満たしているか、どの分野で強みや課題があるかを一目で把握することができます。 POSITIVEによる育成計画管理 「POSITIVE」の「育成計画管理」では、選出された後継者候補に対して、育成方針や手順、実施内容、強化すべきスキルなど、育成計画管理に必要な項目を柔軟に設定することができます。 各施策の実施期間や進捗率もシステム上で記録・管理できるため、育成の進捗状況をリアルタイムで把握して定期的なレビューやフィードバックを行ったり、計画の内容を柔軟に修正したりすることも可能です。 まとめ ここまで、サクセッションプランの重要性や導入ステップ、そして人事ソリューションを活用した運用方法について解説してまいりました。 サクセッションプランは、企業の持続的成長と安定した経営体制の構築に不可欠な人材戦略です。計画的な後継者育成を進めることで、重要ポストの空白リスクを防ぎ、組織の将来を担うリーダーを着実に育てることができます。また、サクセッションプランの運用に際して、システムを活用することで、候補者管理、育成計画の進捗管理まで一貫して行うことができます。 ぜひ本コラムの内容を参考に、貴社でもサクセッションプランの導入やソリューションを活用した運用を前向きにご検討いただき、企業の持続的な成長と安定した経営体制の実現にお役立ていただければ幸いです。 執筆者略歴 森 一就 株式会社電通総研 HCM本部 HCMコンサルティング2部 新卒で入社以来、大手企業向け統合HCMソリューション「POSITIVE」のカスタマーサクセス業務に従事。「お客様との対話を繰り返し、お客様と製品との懸け橋になる」という思いで日々業務に取り組んでいる。 ※このサイトに記載されている社名・商品名・サービス名等は、それぞれの各社の商標または登録商標です。 ※このコラムは執筆者の個人的見解であり、電通総研の公式見解を示すものではありません。