変形労働時間制とは? 種類・選び方・メリット・デメリット・導入方法などを分かりやすく解説

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働き方改革や多様な働き方の普及を背景に、企業の労働時間管理の在り方が見直されています。
特に、業務の繁閑に応じて柔軟に労働時間を調整できる変形労働時間制は、従業員のワークライフバランス向上や企業の生産性向上の観点から注目されています。
本コラムでは、変形労働時間制の基本情報、導入方法、運用上の注意点を分かりやすく解説します。

変形労働時間制とは 

変形労働時間制とは、一定期間内で労働時間を柔軟に調整できる制度です。
通常、労働基準法で定められた労働時間を超えて働くことは制限されていますが、業務の繁閑に応じて労働時間を変動させることで、効率的な人員配置や残業削減が期待できます。例えば、繁忙期には労働時間を長くし、閑散期には短くすることで、年間を通じて法定労働時間内に収めることが可能です。

変形労働時間制導入している企業割合 

厚生労働省による令和6年度の調査結果によると、60%以上の企業が変形労働時間制フレックスタイム制を導入しています。 

 

変形労働時間制がある企業(単位:%) 

企業規模 

全企業 

1週間単位 

1か月単位 

1年単位 

 

フレックスタイム制 

全体 

60.9 

1.4 

25.2 

32.3 

7.2 

1000人
以上 

82.8 

1.1 

54.2 

21.6 

34.9 

300~
999人 

73.4 

0.2 

43.3 

23.0 

19.6 

100~
299人 

67.0 

1.3 

32.0 

30.5 

9.2 

30~
99人 

56.9 

1.6 

20.3 

34.2 

4.4 

出典:厚生労働省「労働時間制度」 

変形労働時間制の4つの種類

1週間単位の変形労働時間制

1週間単位の変形労働時間制は、1週間の中で労働時間を調整する制度です。週の前半に長く働き、後半を短くするなど、週の総労働時間が法定範囲内であれば、日ごとの労働時間を調整できます。主に、規模30人未満の特定の事業が利用できます。 

1月単位の変形労働時間制働時間制

1か月単位の変形労働時間制は、1か月の中で繁忙日と閑散日を見越して労働時間を調整する制度です。月の総労働時間が法定範囲内であれば、日によって労働時間を増減できます。シフト勤務が多い業界で広く使われています。 

1年単位の変形労働時間制

1年単位の変形労働時間制は、年間を通じて繁忙期と閑散期が明確な業種に適しています。例えば、観光業や農業など、季節によって業務量が大きく変動する場合に、年間の労働時間を調整することで繁忙期の人手不足や閑散期の人員過多を防げます。

フレックスタイム制

フレックスタイム制は、労働者が始業・終業時刻を自分で決められる制度です。コアタイム(必ず勤務する時間帯)以外は自由に働くことができ、個人のライフスタイルや業務内容に合わせた柔軟な働き方が可能です。IT業界やクリエイティブ業界などで多く導入されています。

変形労働時間制とフレックスタイム制の違い

変形労働時間制は、企業があらかじめ勤務時間を決め、従業員はその枠に沿って働く仕組みです。一方、フレックスタイム制は、一定の労働時間だけ定めておき、実際の出退勤時刻は従業員自身が選択できます。

自社にあった変形労働時間制の選び方

業務の繁閑が比較的少ない場合

業務量が年間を通じて安定している場合は、変形労働時間制を導入するメリットは少ないかもしれません。通常の労働時間管理で十分対応できるため、無理に変形労働時間制を採用する必要はありません。

業務の繁閑がある場合

繁忙期と閑散期が明確な場合は、1月単位や1年単位の変形労働時間制が適しています。月初、月末、あるいは特定の週に繁忙期がある場合は1か月単位の変形労働時間制。特定の季節など、月をまたいで繁忙期があるケースでは、1年単位の変形労働時間制が適しています。これにより、繁忙期に人員を効率的に配置し、閑散期には労働時間を短縮することで、残業代の削減や従業員の負担軽減が期待できます。 

業務の繁閑が直前までわからない場合

業務量の変動が予測しづらい場合は、1週間単位の変形労働時間制やフレックスタイム制が有効です。短期間で労働時間を調整できるため、急な業務量の増減にも柔軟に対応できます。ただし、1週間単位の変動労働時間制は規模30人未満の特定の事業のみ利用可能です

始業・終業時刻を労働者が自由に選択させることが可能な場合

従業員の自主性やワークライフバランスを重視する場合は、フレックスタイム制が最適です。個々の事情に合わせて働く時間を選べるため、モチベーション向上や離職率の低下にもつながります。

変形労働時間制のメリット・デメリット

変形労働時間制のメリット

変形労働時間制のメリットは、業務量に応じた柔軟な人員配置が可能になることです。繁忙期の残業削減や閑散期の人件費抑制、従業員の負担軽減など、企業・従業員双方にとってメリットがあります。また、ワークライフバランスの向上や多様な働き方の実現にも繋がります。 

変形労働時間制のデメリット

変形労働時間制のデメリットは、労働時間管理が複雑になるため、運用ミスによる法令違反のリスクが高まることですまた、従業員の理解や納得を得るための説明や調整も必要となるほか、繁忙期の長時間労働が続くと、従業員の健康やモチベーションに悪影響を及ぼす可能性もあります。 

変形労働時間制の導入方法

現状調査と対象者、労働時間の決定

業務量の変動や従業員の勤務状況を調査し、変形労働時間制の対象者や具体的な労働時間の設定を行います。業務特性や従業員の意向を踏まえ、最適な制度を選択する必要があります

就業規則の改正と労使協定の締結

変形労働時間制を導入する場合、労働条件が変更されるため就業規則の改定と労使協定の締結が必要となります。労働者代表と十分な協議を行い、制度内容や運用方法について合意を得ることが重要です。

労働基準監督署への届出

導入する制度によって、就業規則への規定や労使協定の締結、労働基準監督署への届出が必要となります。残業や休日出勤が発生する可能性がある場合は、36協定届も同時に提出するとスムーズです。

従業員への周知と運用の開始

届出が受理されたら、従業員への説明会などを実施し、制度の運用を開始します。運用開始後も、定期的な見直しや従業員からの意見収集を行い、制度の改善に努める必要があります

変形労働時間制の運用における注意点

36協定の締結内容を確認・見直す

36協定とは、時間外や休日に労働をさせる場合に、あらかじめ使用者と労働者の間で締結しなければならない協定のことです。変形労働時間制を導入しても、時間外労働や休日労働を行う場合は、36協定(時間外・休日労働協定)の締結が必要です。協定内容が法定基準を超えないよう、注意して締結する必要があります

業代の算出方法を明確にする

変形労働時間制では、法定労働時間を超えた分について残業代が発生します。制度ごとに残業代の算出方法が異なるため、正確な計算が求められます。計算ミスによる法令違反を避けるため、専門家の助言を受けることも検討しましょう

まとめ

さて、ここまで、変形労働時間制について解説してきました。変形労働時間制は、企業の業務量や従業員の働き方に合わせて柔軟な労働時間管理を可能にする制度です。導入には法令遵守や従業員との合意形成が不可欠ですが、適切に運用すれば、企業の生産性向上や従業員の満足度向上につながります。自社の業務特性や従業員のニーズを踏まえ、変形労働時間制の導入をこの機会に検討をされてみてはいかがでしょうか。 

変形労働時間制は制度設計だけでなく、勤務実績に応じた労働時間管理や残業計算、法定労働時間の判定など、日々の運用が複雑になりやすい制度です。 
電通総研の「POSITIVE」は、変形労働時間制やフレックスタイム制など、多様な勤務制度に対応した勤怠管理・給与計算を実現できます。企業の多様な働き方への取り組みを力強くサポートし、働き方改革の実現を後押しします。変形労働時間制をはじめ、制度導入や運用の際に生じる管理負担の軽減にも役立てられるため、ぜひ「POSITIVE」の活用もご検討ください。 

執筆者略歴

寺内 

株式会社電通総研
HCM本部 HCMコンサルティング1部

新卒で入社以来、大手企業向け統合HCMソリューション「POSITIVE」のカスタマーサクセス業務に従事。「ものづくりを通して、お客様に笑顔と満足を届けたい」という思いで日々業務に取り組んでいる。 

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